ファン・ホー氏は私の好きな偉大な写真家の一人で、その素晴らしい作品を見飽きることはない。香港を題材にした作品は得に有名で、50~60年代に撮影されたイメージは昔のモノクロ映画から抜け出たようだ。実際、彼の映画的視点に注目せざるを得ない。(ファン・ホー氏はそして映画監督にもなるのだが)
今日彼の作品を見ていると、故郷である街の日常を写しだす上で、写真家としてその稀有でほぼ詩人のような繊細さを感じる。数々のシーンにおけるドラマチックさを際立たせる自然光の使い方は本当に素晴らしい。構図は特に完璧ではなく、その時代に活躍したフランスの著名な写真家、ロニー、ドアノー、ブレッソンをどことなく思い出すが、より芸術性に重きを置いている。ファン・ホー氏の写真はノスタルジーの世界へつながる窓、彼が言うところの「生きる劇場」だ。1931年に上海に生まれ、つい先日天国へ旅立った。84歳だった。
どうしたらより良い写真が撮れるかアドバイスを求める人には、「私が思うに、技術はあまり重要ではありません。大切なのはあなたの眼、精神そして心を使うことです。技術は誰もが学ぶことができるもの。あなたの写真をより高いレベルに持っていくには、何かを語る必要があります。何かをゆさぶること。シャッターを切る瞬間にそれを感じること。これを実践すれば上手くなっていくでしょう。」
記:アレッサンドロ・メリーニ