芸術と写真

フォトグラファーとして、アートから学ぶことは多い。
過去の例会で、先生がノーマン・ロックウェルの絵からインスピレーションを受けるとお話されたことがある。
著名な画家でありイラストレーターでもあった彼は、アメリカの民衆の姿に深い愛情とリアリズムをもって描き、その素晴らしい作品は後世のイラストレーターに多大な影響を与えた。

© Norman Rockwell - Group of girls chat with a waiter

© Norman Rockwell - Group of girls chat with a waiter

© Norman Rockwell - The watchmaker of Switzerland

© Norman Rockwell - The watchmaker of Switzerland

だから、多くのフォトグラファーに影響を与えたことを想像することは容易い。
もちろん、その時代のアメリカでの日常生活を今の日本のような文化の違う国で見つけることは難しい。
とは言っても、自然に出るジェスチャーやキラキラした瞬間は時代や国を超えて私たちの心を打つ。

ロックウェルの他にも様々な画家からフレーミングや光の使い方などを学ぶことができる。
例えば、エドワード・ホッパー。彼はアメリカで最も人気のある画家の一人で、アメリカンライフの写実的描写を得意とした。

© Edward Hopper - Nighthawks

© Edward Hopper - Nighthawks

© Edward Hopper - Woman at window

© Edward Hopper - Woman at window

彼の描く一見どこにでもあるちょっとした田舎町やニューヨークの街角からは、どこか孤独で物悲しい雰囲気が伝わってくる。そんな彼の描写は、今日の写真にも見て取るものがある。

 

そして言うまでもなく、カラヴァッジョの素晴らしい絵。「カラヴァッジョは初のフォトグラファーだ」とかつて言った人がいる。カラヴァッジョが得意としたのは「光」の使い方。写真のように見える「光」。

© Caravaggio - Vocazione di San Matteo

© Caravaggio - Vocazione di San Matteo

© Caravaggio - Cena in Emmaus

© Caravaggio - Cena in Emmaus

そのドラマチックな世界感は多くの写真家や映画監督に影響を与え、ヒッチコック監督も影響を受けた一人であることはよく知られている。

 

さて、今度写真を撮るときは、画家の視線でフレームに描く要素を考えて素敵な瞬間を撮ってみては?

記:アレッサンドロ・メリーニ

今年の写真展のテーマ「未来に残したい情景」

昨年12月13日第26回写真展「昭和の風・・・ときの流れ」が無事に終了しました。
おかげさまで大勢の方にご来場いただき、一同感謝申し上げます。

写真展が終わってほっとしたのもつかの間。今年の写真展のテーマが決まりました。
「未来に残したい情景」です。
未来の人たちに残したいものってなんだろう?守って行きたいものはなんだろう?

きれいな自然?道で遊んでいる子供たちの声?考えてみれば沢山あります。
逆に残したくないものもあります。

「未来に残したい情景というとね~、残したくない、本当に人に見せたくない情景が多いの。
残したい情景、あると思うけど残したくないっていうのもいっぱいあると思う。
テレビを見ると、悲しいニュースばかり報道されてる。そういう意味でこれはすごいテーマですね。
たとえば、昔は肩車ってあったじゃない?駅で待つ子供をお父さんが肩車をするの。そういう日常の風景今ある?夏の夕方、お風呂入って浴衣着て出るときに肩車したり。あれはいい姿でしたね。今では見かけなくなったけど、道だけ写してもつまらない。」

とは常盤先生の言葉。

さあ、このテーマを心に留めて今年も1年写真を撮らなければ!