フォトグラファーとして、アートから学ぶことは多い。
過去の例会で、先生がノーマン・ロックウェルの絵からインスピレーションを受けるとお話されたことがある。
著名な画家でありイラストレーターでもあった彼は、アメリカの民衆の姿に深い愛情とリアリズムをもって描き、その素晴らしい作品は後世のイラストレーターに多大な影響を与えた。
だから、多くのフォトグラファーに影響を与えたことを想像することは容易い。
もちろん、その時代のアメリカでの日常生活を今の日本のような文化の違う国で見つけることは難しい。
とは言っても、自然に出るジェスチャーやキラキラした瞬間は時代や国を超えて私たちの心を打つ。
ロックウェルの他にも様々な画家からフレーミングや光の使い方などを学ぶことができる。
例えば、エドワード・ホッパー。彼はアメリカで最も人気のある画家の一人で、アメリカンライフの写実的描写を得意とした。
彼の描く一見どこにでもあるちょっとした田舎町やニューヨークの街角からは、どこか孤独で物悲しい雰囲気が伝わってくる。そんな彼の描写は、今日の写真にも見て取るものがある。
そして言うまでもなく、カラヴァッジョの素晴らしい絵。「カラヴァッジョは初のフォトグラファーだ」とかつて言った人がいる。カラヴァッジョが得意としたのは「光」の使い方。写真のように見える「光」。
そのドラマチックな世界感は多くの写真家や映画監督に影響を与え、ヒッチコック監督も影響を受けた一人であることはよく知られている。
さて、今度写真を撮るときは、画家の視線でフレームに描く要素を考えて素敵な瞬間を撮ってみては?
記:アレッサンドロ・メリーニ