今日写真家であるということ - デヴィッド・ハーンの思いと助言 / by Alessandro Melini

デヴィッド・ハーンは感じの良い82歳の紳士だ。ちょっとした偶然で写真家になった。彼のお父さんは息子には軍人としてキャリアを磨いて欲しかったが、その環境は彼にとってはとても厳しいものだった。当時彼は軍人仲間の写真クラブに入ったのだが、特別写真に興味があったわけではなく、兵舎を出入りできる自由がより多くあったからだった。そしてある日、彼はある一枚の写真に惹きつけられた。当時他でもよく見かけた戦争写真のようだった。しかしあの一枚は他の写真とは違っていた。ロシア兵が土産屋の前に立ち止まり、誰か、彼女かもしかするとお母さんへのプレゼントを探している。
厳しい環境にあってもカメラマンは日常に見られる感情を切り取り、それがデヴィッドの心を惹きつけた。その瞬間から彼は真剣に写真家としての道を歩み始め、マグナム・フォトのメンバーにもなった。最近、彼の友人が行った長いインタビュー形式の本を再読した。そこから、写真を始めたい人や上達するための彼の考えやアドバイスをいくつか抜粋してみようと思う。その多くはフィルム写真についてのアドバイスだが、デジタル写真においても参考になるだろう。

上手い人から学べ

もし誰かから学ぶ必要があるなら、偉大な写真家から学ぶほうがよい。

好奇心旺盛であれ

写真家は写真に対してだけでなく、何にでも興味を持つ必要がある。長い時間をかけて、この興味の対象を注意深く調べ、読み、研究し、何度も間違えることが大事だ。

被写体をよく選ぶこと

若い写真家が迷う理由の一つに、講師、クラス、ワークショップや本が、写真はどう撮られるべきか、どんな技術を使うのか、芸術的観点から美しいのかどうかといったものに重きを置き過ぎているということがある。しかし、写真家はまず被写体を選ぶことが大事だ。写真家の最初の決定は何を撮るかということ。自分の持つ興味と被写体へ夢中になっていることは写真から伝わってくる。ならば、写真と関係がなくても表現のために興味のある被写体をメモ帳に書き並べてみよう。選んだ対象は自分を夢中にさせ、興味をそそり、イメージとして表現可能であり、時間と意欲がある度にそこへ戻ることができるものだ。お母さんが自分の子供を写真に撮るように。お母さんは被写体である子供をよく知っている。テクニックやスタイル、素敵な写真を撮ることには興味はない。リストを作り終わったら、自問してみよう。被写体として視覚的であるか?もし明らかに写真撮影が無理ならば、それはやめたほうがいい。実践的な対象であるか?よく知っている被写体なのか?何も知らないものならリストから消したほうがいい。何か面白い被写体に出会うかもと出かけ、幸運に恵まれることもあるかもしれないが、難しい。

良い写真を撮るためには何枚もシャッターを切ること

これは連写をして後でベストショットを選ぶことを意味しているのではない。できれば構図を変えたり、違う瞬間を待ったりしながらあるシーンを何枚も撮るということだ。最高の瞬間を見極める事は大事だ。そのために最良の方法は、偉大な写真家を勉強し、本や映画、絵画などからインスピレーションを受けること。写真家は、どんな時も写真家であるということを忘れてはならない。デヴィッド・ハーンは、そのシーンの中心的要素に集中し、何枚もシャッターを切り、撮影位置やよいタイミングを選びながら、2つ3つ周りの要素も気にかけて撮ることを勧めている。すべての要素が理想的な構図で構成される瞬間がある。この瞬間を捉えるには運も必要かもしれないが、写真家はこの運をつかむための準備をしなければいけない。

ポジションといいタイミング

写真には2つの大事な要素がある(写真家が唯一決定できるもの)。それはシャッターを切る瞬間にいる場所とシャッターを切るタイミングだ。被写体が静止していて、対象物が少ない場合でも、距離やアングルを変えれば、まったく違う写真を撮ることができる。さらに、背景にも注意しよう。
どんなに良いシーンでも、背景がごちゃごちゃしていると、写真の良さが半減してしまうからだ。

写真家にとってカメラの次に大事なものは歩きやすい靴

写真家は沢山歩かなければならない。日に何時間も歩くのなら、履きやすい靴を買いなさい。