世の中って狭い!

昨年のクリスマス休暇はイタリアで過ごすことになった。
私の母はローマの南、サンパオロ大聖堂のあるエリアに住んでいる。
イタリアへ出発する前、母の上階に住む古い友人であるトニーノからメールが届いた。この友人は年金生活を送ってしばらくたつのだが、たまにバイトで映画やCMのエキストラをやって楽しんでいる。彼からのメールには「チャオ、アレ。フィラデルフィア(チーズ)の日本のCMに出たんだけど、思い出に何か僕に持ってきてくれないかな。」
そういうわけで出発前に彼が写っているものを探し始めた。テレビは難しいので雑誌を探したのだが見つからず。
唯一見つけたのはメーカーのサイトに載っていたCMビデオで、それを彼に送った。
彼にローマで会った時、何も持っていくことができなかったことを謝った。彼も残念そうに見えた。
日本へ戻り、翌日から仕事に復帰。ほぼ1日がかりの旅の後だけにくたくたに疲れた。夜、会社を出て上を見上げる。

トニーノがそこにいるじゃないか。正面にあるビルの巨大な看板に写る彼の満面の笑顔が僕を見降ろしていた。びっくりだ。人々が私の横を通り過ぎる中、立ち止まった。それにしてもなんて世の中狭いんだ、と私は思った。

記:アレッサンドロ・メリーニ